冬のほっこりホットドリンク 

ケリアブログ

そろそろ一年でいちばん寒い時期。こんな時、冷えた体を中から温めてくれる温かい飲み物が恋しくなりませんか?

欧米ではこの時期、数種類のスパイスで香りづけしたホットドリンクをよく飲みます。特にクリスマスシーズンには欠かせないのですが、寒い地方では冬の時期を通じて飲まれています。調理法はとっても簡単。3種類紹介しますが、共通して使うスパイスも多いのでまず材料から。

(日本ではもしかしたら以下のレシピにある全てのスパイスを手に入れるのはちょっと難しいかもしれません。まずは簡単に手に入るもので試したり、レシピに無くてもお好みのスパイスを足して工夫してみてください。)

そろえるスパイス: シナモン(できればスティック)、クローブ(ホール)、ナツメグ、八角、オレンジピール(オレンジの表皮)、カルダモン、生姜、ブラックペッパー(粒状)

 

アップルサイダー

日本で「サイダー」と言うと無色透明の炭酸水を思い浮かべる人がほとんどだと思いますが、欧米では「cider」はリンゴを原料とする飲み物のこと。

しかも、ヨーロッパと北アメリカで定義が違い、ヨーロッパではアルコールの入ったリンゴ酒(フランス語読みだと「シードル」です)、アメリカではアルコール発酵していない「リンゴジュース」のことです。アメリカではリンゴ酒は「hard cider」と呼んで区別します。

アメリカでは「apple juice」という言葉も使います。地方によっては「搾りたてのものがciderで、低温殺菌などの加工を経たものがジュース」「砂糖や甘味料を加えてあればジュース」と言う人もいますが、一般的にはapple ciderと明確な区別はないようです。

ちなみにオーストラリアでは日本で「サイダー」とされる炭酸飲料は「lemonade(レモネード)」と呼ばれています。レモンが入っていないただの炭酸水でも「レモネード」です。

はぁややこしや……

でも、ひとつだけ確実なのは、アメリカでは温めて飲むリンゴジュースはジュースとは呼ばず、必ずciderであること。大人から子供までみんな大好きで、冬場はよく飲まれます。食料品店では調合済みのスパイスだけを入れたティーバッグもよく見られ、温めたサイダーにぽんと入れて好きなタイミングで引き上げられるので重宝します。

ベース: リンゴジュース(白濁していない100%のもの)2カップ

スパイス: シナモンスティック1本、クローブ2個、ナツメグひとつまみ、オレンジピール1/4個分

作り方: リンゴジュース2カップとスパイスを小鍋に入れて、煮立たせないように弱火で温めます。沸騰する前に火を止め、茶こしでこしながらカップに注ぎます。

 

マルドワイン(グリューヴァイン)

ワインにスパイスや蜂蜜で味付けして飲む習慣はローマ時代からあったそうです。英語ではmulled wineと言います。アップルサイダーが主流のアメリカに対し、ヨーロッパ、特にフランスやドイツでは冬にスパイスを入れた温かいワインをよく飲みます。

フランスではシンプルに蜂蜜とシナモンとオレンジだけで味付けしたものが好まれるようですが、グリューヴァインと呼ばれるドイツのホットワインは上記のアップルサイダーのルーツと言われ、クローブや八角をしっかり効かせます。

ベース: 赤ワイン(ポルトなどの甘いワインでも可)2カップ

スパイス: シナモン1本、クローブ2個、オレンジピール1/4個分、八角1/2個、好みの量の砂糖

作り方: アップルサイダーと同じように小鍋に赤ワインを入れ、スパイスと砂糖を入れて弱火で温め、香りが立ってきたら茶こしでこしながらカップに注ぎます。ポルトなど甘みのあるワインを使う場合は砂糖は入れません。

アルコールに弱い人は熱で立ち上ってくる匂いで気分が悪くなることもあるので、しばらく静かに沸騰させてアルコールを飛ばしてしまった方が良いかもしれません。

 

チャイ

チェーンのコーヒーショップなどから広まって、世界中で定着しつつあるインド発祥のチャイですが、チャイという言葉はもともとは単に「茶」という意味で、よく知られているスパイスや牛乳をたっぷり入れたものは「マサラ・チャイ(スパイスティー)」と言います。

実は19 世紀まではインドではお茶を飲む習慣が一般的ではなく、お茶はハーブやスパイスの一種という立ち位置でした。当時は中国が世界中で飲まれるお茶の9割を生産していたのですが、インドを植民地にしていたイギリス東インド会社はもっと安くお茶を仕入れる方法を模索。インドのアッサム地方にお茶の木が自生していたことから試験的にお茶の栽培を始め、やがて急速にインド各地に広まって、数十年後には中国産に対するインド産のお茶の輸出量の割合が逆転しました。

爆発的に生産量が増えると、それをちゃんと購入・消費しなければ商売が成り立ちません。ヨーロッパに輸出するだけでは在庫がだぶついてしまうため、東インド会社は盛んにお茶の消費を現地のインド人に推奨しました。

インドでは、もともとカルダモンを中心とした複数のスパイスを煎じ、牛乳をたっぷり加えて飲む習慣がありました。そこで、もともと「スパイスの一種」であったお茶も自然にこの煎じ汁の材料として定着していったということです。

ベース: 紅茶(ティーバッグ)2つ、水1/2カップ、牛乳1カップ半

スパイス: カルダモン2個、生姜(5ミリ厚さのスライス)3枚、シナモン1本、クローブ2個、八角1/2個、ブラックペッパー2粒、塩ひとつまみ、好みの量の砂糖

*ブラックペッパーは欠けていると辛味が出てしまうので、なるべく傷のない粒を選んでください。

*紅茶は葉茶を使っても良いのですが、ティーバッグだと紅茶だけ早めに取り出して濃さを調節するのに便利です。

作り方: カルダモンはスプーンの背などで軽く潰しておきます。小鍋に水を入れ、ティーバッグとスパイスを入れて中火で静かに沸騰させます。好みの濃さになったらティーバッグを取り出し、牛乳を入れます(むしろ紅茶の渋みをしっかり出したい場合はティーバッグを入れたままでもOK)。

弱火から中火でゆっくりと温め、沸騰する直前で火を止めて茶こしでこしながらカップに注ぎます。

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