よ~く聴いて!この曲にはヒミツがあります

ケリアブログ

さて、今回はケリアブログ音楽担当が記事をお送りします。ブログとしては第二弾ですが、音楽トピックは一回目。これから数回にわたってクラシック音楽のお話をさせていただきます。

みなさんは、クラシック音楽は聴きますか? 「大好き!」という人もいれば、「なんだか難しそうだし、初心者向けじゃないよね」という人もいると思います。

じつは、「難しくて初心者向けじゃない」はまさにその通り! なんです。なんだかお堅い感じで聴く気になれないですよね。はい、ブログ記事終了。

…いやいやいや、冗談です(^▽^;)

なぜクラシック音楽は「難しい、お堅い、初心者向けじゃない」という印象を与えるのでしょうか? それは、「ただ単にきれいなメロディを聴いて楽しむ」というだけでなく、音楽の中にいろいろなトリビアや、豆知識や、その他いろいろなトリックが詰め込まれているからなんです。

また、クラシック音楽はそれぞれが作曲された国や時代によって歴史や経済、政治情勢などから影響を受けており、また絵画や彫刻、文学などの文化にも大きな影響を受けています。それらの知識があると、クラシックは俄然おもしろくなります。

「でも、音楽のレッスンやお教室は月謝も高いし、時間もないし…」「今さら歴史とか勉強するのは面倒…」という方、大丈夫です! このブログのシリーズでは、「クラシック音楽が楽しくなるコツ」を毎回ひとつずつ、分かりやすくご紹介していきます。

まずはクイズです。最初の曲をきいてみてください。あるピアノ作品からの抜粋ですが、この曲には「あるヒミツ」が隠されています。そのヒミツとは何でしょうか? ヒントは、この曲は前半と後半の二つの部分に分かれていること。それぞれ繰り返しがあるので、まず前半部分を二回聴いてから、後半部分を二回聴くことになります。前半部分は約15秒×二回、後半部分も15秒×二回なので、タイマーを目安にしてよ~く聴いてみて!

聴いただけで答えが分かった人、楽器を弾いた経験がありますね? もし、何も音楽の経験がなくても分かった人がいたら、隠れたすごい才能の持ち主かも! 

でも、ほとんどの人は音を聴いただけではどこにどんなヒミツがあるのか分からなかったと思います。大丈夫、それが普通です!

では、種明かしをしましょう。この曲の楽譜を見てみてください。

楽譜が読めなくても大丈夫です。ピアノの楽譜は主に右手で弾く上の段と、主に左手で弾く下の段、二段の五線譜が基本になっています。まず、上の段の音の一番最初の音(二つの音の和音になっています)と、同じく上の段の一番最後の音を比べてみてください。同じ音だと分かりますか?

次に、下の段。曲の冒頭の三つの音は、下から上へと順に並んでいます。そして、曲の一番最後の三つの音は上から下へ。よ~く見ると、曲の一番最初の音と一番最後の音、最初から二番目と最後から二番目、最初から三番目と最後から三番目、それぞれの音が同じです。

お分かりでしょうか?

この曲、なんと最初から普通に弾いても、最後の音から逆行して弾いても、全く同じ曲なんです! 言葉で言えば「しんぶんし」とか、「わたし負けましたわ」のような、いわゆる「回文」になっているのです。

抜粋の部分は「メヌエット」と呼ばれますが、実はこの曲には続きがあり、「トリオ」と呼ばれる部分が演奏されます。トリオもメヌエットとだいたい同じ長さで、やはり前半部分と後半部分があり、それぞれ繰り返します。このトリオももちろん回文になっています。トリオが終わったらまた最初に戻り、もう一度メヌエットを引くので、メヌエット→トリオ→メヌエットとなり、全体を通しても長い回文形式になっています。

回文形式というのはクラシック音楽の中でもちょっと珍しいのですが、予備知識がなくても分かりやすいコンセプトなので、音楽ブログ第一弾でこの曲を選ばせていただきました。

このように、クラシック音楽は作曲家がただ単に「お、良いメロディを思いついたぞ!」とひらめいて作っただけではありません。20世紀を代表するロシアの作曲家イゴール・ストラヴィンスキーが、同時代のフランスの作曲家であるモーリス・ラヴェルを評して「彼の音楽はまるでスイスの時計職人のように精巧だ」と言ったことがありますが(ラヴェルのお父さんはスイス出身でした)、クラシックの作曲家の作る音楽はまさに時計のパーツのよう。音程も、リズムも、音色も、強弱も、作曲者が長い時間をかけて考え抜いた末、それぞれすべてがあるべき場所に精巧にぴたりとはめ込まれているのです。

さて、このメヌエットを作曲したのはこの方↓

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)です

今回聴いていただいたのはピアノソナタ41番の第二楽章ですが、ハイドンはもともとこの曲をオーケストラ用に作曲して、のちに鍵盤楽器のソロに転用しています。オーケストラバージョンを発表するとき、メヌエットとトリオそれぞれの前半部分だけの楽譜を楽団員に配り、「これを通して演奏したら、次は最後の音から最初の音まで戻って来て」と指示したそうです。理論的にはそれで一曲まるまる演奏できるはずですが、実際にやってみると結構難しい…楽団員さんご苦労さまでした。

メヌエットとトリオを通して聴いてみたい方は、動画サイトなどで「Menuet al Rovescio」または「ハイドン ソナタ41番 第二楽章」で検索してみてください。また、ここにトリオも合わせた楽譜を置いておくので、よろしければダウンロードしてみてください。

さて、ここでまたクイズです。ハイドンはなぜこんな曲を作曲したのでしょうか?

答えは、次回のブログ音楽エントリーで! 「ベートーヴェンやモーツァルトは聞いたことあるけど、ハイドンはあまりよく知らない」という方も多いと思いますが、なかなか興味深い人物です。こんなつぶやきを見れば、少しは親近感も沸くのではないでしょうか。

ハイドン
ハイドン

仕事量と拘束時間だけで見れば、今でいうブラック企業。しかも中間管理職。でも上司は私の仕事を高く評価してくれる上に、部下たちにも慕われているので、当分辞められないな…

お楽しみに!

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