サンタクロースの秘密! クリスマスの秘密その3

ケリアブログ

クリスマスシリーズ第3弾、最終回です。

クリスマスといえばサンタクロースがプレゼントを持ってくるもの。小さい頃そう信じていた方も多いでしょう。(もしまだサンタさんを信じている方は、この記事は読まないでくださいね!)

サンタさんが「クリスマスの夜にプレゼントを持ってくる」という伝説の起源は『A Visit from St. Nicholas』という詩に由来していることは前回の時事ブログでもお話しました。

クリスマスシリーズ最終回では、サンタさんの正体のついて更に掘り下げていきます。

サンタクロースはイギリスでは「ファザークリスマス」、フランスでは「ペールノエル」、イタリアでは「バボナターレ」と呼ばれたりしますが、どれも「クリスマスお父さん」という意味です。ロシアでは伝説の登場人物であった「Ded Moroz」という冬の精があてられていたり、ドイツでは悪い子にお仕置きをする役の「クネヒト・ループレヒト」がサンタと一緒に行動していたり、と土着の神話や伝説と結びついている地域も。また、北欧神話の神ヴォータン(またはオーディン)と同一視する説もあります。

「サンタクロース」という言葉自体は「聖ニコラウス」のオランダ語発音「シンタクラース」から来ているようです。

3世紀から4世紀にかけて活躍し、のちにキリスト教の聖人とされた「ニコラウス」は確かに存在するのですが、彼がどうやって冬にプレゼントを持ってくるキャラとなったのかは諸説あり、どれもはっきりしていません。

もともとヨーロッパにあった真冬の季節にプレゼントし合う風習と、各地の伝説のキャラが少しずつまとまっていき、『A Visit from St. Nicholas』で現代に伝わるサンタクロース像が確定したのではないか、というのが一般的な説です。

さて、『A Visit from St. Nicholas』出てくるサンタさんは「幅の広い顔にローズ色の頬、サクランボのような鼻に白い髭、丸いお腹の太っちょ」とあり、服装については「頭から足まで毛皮に覆われていて、(煙突の)灰と煤で汚れていた」とあります。

あれ? 現在よく知られているサンタさんとはちょっと違いますね。おなじみの赤い服と帽子は登場しません。

『A Visit from St. Nicholas』が発表されてから50年ほど経った19世紀後半のとあるクリスマスの夜、アメリカの開拓地で小さな女の子が家の中からしょんぼりと窓の外を眺めていました。女の子の名前はローラ。

ローラと姉のメアリーは「今年はサンタさんが来られないかもしれない」と聞かされていました。何日も続く雨で町に行く途中の川が渡れなくなり、ローラの両親はクリスマスのための買い出しに行けないまま当日を迎えてしまったのです。

ところが、突然ドアをノックする音があり、ローラの一家と親しくしていたエドワーズさんという開拓民仲間が入ってきて、「町に行ったら偶然サンタさんと出会って、頼まれたんだ」とローラとメアリーにプレゼントを渡します。2人のために増水した川をなんとか渡って町まで行ってくれたのです。

「でも、どうしてそれがサンタさんだとわかったの?」ローラは聞きます。

「だって、白い髭をたくわえて、とても優しそうな目をしていたからね」
 エドワーズさんは答えました……。

うーむ、「サンタさんがプレゼントを持ってくる」ことはヨーロッパから遠く離れたアメリカの開拓地にも広まっていましたが、ここにも赤い服は出てきません。

時代は更に50年ほど下って1930年代。赤と白のロゴマークで有名なコカコーラが、ハッドン・サンドブロムというイラストレーターに依頼して、サンタクロースをモチーフにしたポスターを作らせます。炭酸入りの清涼飲料はどうしても冬場に売れ行きが落ちるもの。そこで、クリスマスシーズンにもコカコーラを飲んでほしいとサンタを起用したようです。

サンドブロムのポスターには、白い縁取りのある赤い帽子に赤いジャケットと赤いズボンという出で立ちのサンタクロースが描かれており、冬にコカコーラを飲む習慣と共にあっという間にアメリカ全土に伝わりました。そこで、「サンタクロースの赤い衣装はコカコーラとサンドブロムが発案したもの」という説が定着したのですが…。

実は、赤い衣装のサンタのイメージは1930年以前にもあちこちで散見されるのです。1868年のニューヨークの菓子製造業のポスターには赤いジャケットと帽子のサンタが描かれています。その他にも1881年の雑誌『ハーパーズウィークリー』に寄稿されたトーマス・ナストのイラスト、1902年に雑誌『パック』に載ったフランク・ナンキヴェルのイラスト、1913年のノーマン・ロックウェルのイラストなどはほぼ現在のサンタのイメージそのままです。

サンタクロースの歴代イラストはこちらのサイトでご覧になれます↓

A Pictorial History of Santa Claus

つまり、赤い衣装のサンタクロースはコカコーラのポスター以前にある程度定着していたのです。

ただ、テレビもインターネットも無かった時代。上記の雑誌やポスターにもある程度の知名度はありましたが、20世紀初頭には瓶詰め炭酸飲料の先駆けとして爆発的な人気を誇っていたコカコーラの拡散力は桁違いでした。

それに加えて、コカコーラのサンタのポスターはシリーズ化され、サンタがおもちゃに囲まれていたり、クリスマスツリーと並んでポーズをとったり……と見るだけで楽しくなるイラストが次々と発表されました。

コカコーラとサンドブロムは赤い衣装のサンタクロースの発案者ではなかったのですが、そのイメージを広めるのに多いに功労があったと言えるでしょう。

ちなみに、北半球とは季節が反対のオーストラリアにもちゃんとサンタクロースは伝わっています。「オーストラリアのサンタクロースは水着でサーフィンしながらやってくる」なんて噂がまことしやかに流れたこともありますが、オーストラリアの子供たちにとってもサンタクロースは赤い衣装に長い髭の同じサンタですよ!

保育園などのクリスマス会では父兄が持ち回りでサンタクロースの役をやりますが、薄手の生地とはいえ長袖長ズボンは真夏の時期にはキツいもの。そして更に苦痛なのが「真っ白なつけ髭」だそうですが、これがないと子供たちに「〇〇ちゃんのパパだ!」とバレてしまうので必要不可欠。

今年は特に暑いそうで、南半球のあちこちで子供たちのために奮闘するパパサンタの姿が見られることでしょう。経験者によると、「それでもサンタ衣装を脱いですぐ一杯やる冷たいビールは最高!」だそうです。

さて、今年の「クリスマスの秘密」シリーズはここまでです。

皆さま、良いクリスマスを!

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