今回は、相手が絶対に勝てないトランプゲームをご紹介します。
二人のプレイヤーがそれぞれ3枚のカードの色の組み合わせを選びます。次にトランプのカードデッキをよく切って伏せておき、一枚ずつ開けて場に置いていきます。自分の色の組み合わせが出てきたら、場のカードを全部取ることができます。山がなくなるまでこれを繰り返します(最後の数枚のカードはどちらも取れないこともあります)。
最後に手持ちのカードが多い方が勝ちですが、どうも様子がおかしいのです。
まずは、動画をご覧ください。
みーたんがクラウディオにこのトランプゲームを持ちかけます。ところが、3回勝負してすべてみーたんの勝ち。特に2回目と3回目はみーたんの圧勝で、クラウディオはほとんどカードを取ることができません。
いったいなぜ?
実は、みーたんは必ずクラウディオに先に3枚のカードを選ばせて、その組み合わせを見てから自分のカードを選んでいます。その法則は次の通り。
① まず、クラウディオ(A)の選んだカードの2番目を見て、その反対の色をみーたん(B)の1番目とします。クラウディオが赤、黒、赤の組み合わせを選んでいたら、2番目の黒の反対の赤がみーたんの1番目のカードです。
② 次にクラウディオの選んだカードの1番目と2番目をみーたんの2番目と3番目とします。みーたんの2番目と3番目は赤と黒、つまりみーたんの3枚のカードの順番は赤、赤、黒となります。
ちなみに、この法則だと、後から選ぶみーたんのカードが全部同じ色になることはありません。クラウディオのカードの2番目と反対の色を選ぶ上に、その2番目の色をそのまま自分の3番目とするので、みーたんのカードの1番目と3番目は必ず違う色になります。つまり、みーたんの選べるカードは「1番目と2番目が同じで3番目が違う色」か、「1番目だけが違う色で2番目と3番目が同じ色」のどちらかになります。
この法則でカードを選ぶと、みーたんが勝つ確率が高くなるのですが、その勝率はクラウディオのカードの組み合わせによって少し違ってきます。
① まず、クラウディオの選んだカードがすべて同じ色(「赤、赤、赤」または「黒、黒、黒」)の場合、クラウディオにはほぼ勝ち目はありません。99%みーたんが勝ちます。
② クラウディオが選んだカードの一番目と2番目が同じ色、真ん中だけが違う色の場合(「赤、黒、赤」または「黒、赤、黒」)の場合、みーたんが有利ではありますが、クラウディオの勝率が上がります。みーたんが勝つ確率は2対1くらいの割合です。
③ クラウディオのカードの1番目だけ違う色で2番目と3番目が同じ色の場合も、2対1くらいでみーたんが勝ちます。
④ クラウディオの1番目と2番目のカードが同じで3枚目だけ違う場合、②と③よりみーたんが勝つ確率が上がり、3対1くらいです。
動画の中でも、最初にクラウディオが「赤、黒、黒」を選んだときは③の2対1の確率なのでかなり接戦でしたが、2回目に「黒、黒、赤」を選んだ時は④の3対1の確率なのでぼろ負けしていましたね。
ただランダムにカードの組み合わせを選んでいるように見せかけて、実は高度なトリックがあるこのゲーム。ウォルター・ペニーという人がコインを3回投げて出る結果の確率を計算した「ペニーのゲーム」をもとに、イギリスの数学者ハンブル氏と日本の数学者西山氏が考案したもので、The Hubmle-Nishiyama Randomness Gameと呼ばれています。
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